読書①



数日前に読み終えた小説が最高に面白かった……早く1巻を読みたくてウズウズしている...
(どうしても4巻が気になって4巻から入った)


作品は、乾石先生の
【オーリエラントの魔道師たち】



短篇集で4つの物語を楽しめます。

1つ目の物語が文庫本と単行本で違うそうなので、1巻と単行本をまとめて買う予定✌🏻



さてさて、こちらの文庫本ですが、どのお話も超~~~好き! だったのだけど、個人的には”黒蓮華”がとってもとても刺さった。


黒蓮華の主人公は男性で、ロウイという死体を用いる”プアダンの魔導師”


人間や動物の死体の一部を用いる魔法がプアダン


彼は幼い頃に戦で両親、身内を目の前で殺されてしまいます。(敵はコンスル人)

その後、魔法を試しつつ数々のコンスル人を殺害し色々な場所を練り歩いてきたわけですが...ある日、土産物屋にいる際に両親を殺した男──ついに仇を見つけます。



仇、アブリウスの護衛として彼の家で生活を始めますが、まず的になるのはアブリウスじゃなく、細かい点を気にするであろう彼の息子、セブリウス。殺意を仄めかすため、セブリウスが分かるところに乾燥した鼠の目玉を仕込みます。


こうやって説明すると私が冷酷非道な人間になった気分😂


他にも、兎の心臓の中に憎き相手の髪を縫いおさめたりと、なかなかやり口が残酷


ロウイは現世で言うなら暗殺者のようなものなので、絶対に痕跡を残さないんだけども。上記の鼠の目玉を使った時は、何年ぶりかにあえて痕跡を残したんですよ。



目玉を使った理由は”見ているぞ”という意味。

普段は陰に潜んで目立たず生きている人間が本気を出す瞬間がとてつもなく好き。

初っ端からエンジン全開なの堪らん……。


それと、惨いけどプアダンの魔法がめちゃめちゃ面白くて。


まだ1回しか読んでいないので細かい点は曖昧だけど、例えばロウイが何かの心臓を握り潰すとその影響が殺害対象の心臓に及び、


頭蓋骨を踏み砕けば対象の頭蓋骨がやられるので、言うまでもなく即死に至る。

ロウイが扱う死体の一部と、対象の部位がリンクするっていう感じで、ちょっとグロいけどグロが苦手な私でも楽しめた。



そんな感じで暫くアブリウス、セブリウスを脅かしていくんだけど、ここからはもう、吸い寄せられるように見入ってしまって、迫力とスピード感が凄まじかった。体感が狂う。



魔法を信じず息子の恐怖を笑っていたアブリウスも、息子と自分の身体にのみ害が生じたことで魔道師には魔道師で対抗すべく、手練れの女性魔道師を呼ぶことに。(最初は自称魔道師を呼んで失敗)



なんとなんと、その女魔道師との戦いでロウイが勝ったはいいものの、その際にロウイが使った魔法は自らの命を削っていくもので。


最後、ついにアブリウスを追い詰め自らの手で葬ったけど、案の定ロウイも。(言いたくない)



ただでさえ胸が抉られるのに、アブリウスの家で奴隷として住んでいた女の子にロウイが残した最後の言葉が……いやもう、ほんと、そんなんアリかよ……ってなる。



乾石智子(2016)オーリエラントの魔道師たち (株)東京創元社

「<白花>──いや、ファーリ、おれの銀貨を取れ。それで自由になれ。自由になって故郷へ帰れ。自分の民を大切にするんだ。……滅び去ったガルイラの民の代わりに……」
作中より引用


あのですね……ロウイは作中、ずっと一人称が”わたし”なんですよ……。


この時、この最後の瞬間だけ、”おれ”って(泣)



長年魔道師としていくつもの命を葬ってきた彼じゃなく、ほんの刹那、悲願の達成をした”ロウイ”という本来の彼が表れた、と私は思っている。



尚且つ、自由になれ、自分の民を大切にするんだ、という言葉をかけたことが意外だった。あれだけ深く闇に染まっているのに、僅かばかりなのかもしれないけど、ちゃんと温かさを持っていて。



このお話だけ、”ひそかにひそかに”という言葉が使われるんだけど、繰り返して使う部分に何か深いものを感じた。



私個人の見方だけど、自分の大切な人たちを皆殺しにされた、孤独と言うには軽すぎるほどの感情を覚えたあの日の冷ややかさが、ずっと心の中で根を張って、月日の経過と共に成長していったような感覚。



”ひそかにひそかに”、この言葉にロウイの闇が凝縮されているように思う。圧倒的に闇の方が強いのに、白花の幸せを願う心を持っているところが本当に、心にくる。



魔法を使える彼らだけど、このお話に所謂スーパーマン、スーパーウーマンはいない。

現実世界と同じように彼らも自らの力で生きているから、当然そこには苦労も苦悩も困難も壁も理不尽も犠牲も、現実で生きている人たちが誰しも感じているものが所狭しとあって、だからこそものすごく人間味を感じる。



ファンタジーとして読むには重みがあるし陰鬱だけれど、この世界で暮らす彼らの息遣いはどこか心地良くて、ずっと浸っていたくなる。



そんなわけで、11月はオーリエラント月間にしたい。


好きな作家さんが増えました(Θ̋֊Θ̋)












怠惰な人の日記

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